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王侯貴族御用達の磁器- ヘレンドの歴史

ヘレンドは金彩と手描きの絵付けを施した優美な作品で知られる、ハンガリーの磁器ブランドです。 1826年に誕生し、2026年には創業200周年を迎えます。
時はハンガリーがまだオーストリア=ハンガリー帝国の一部だった頃。ウィーン磁器の美しさに魅せられた創始者ヴィンツェ・シュティングルが、自国初の工房を立ち上げました。ここに、ヘレンドの伝統は息吹を上げたのです。
創業後まもなく、ヘレンドの精巧な作品はヨーロッパの王侯貴族の注目を集めました。ハプスブルク家を始め、ヨーロッパ、ハンガリーの有力貴族達は、ヘレンドを熱烈に愛するパトロンとなりました。初期を代表するいくつかの絵柄は、ヴィクトリア女王陛下をはじめとする著名な所有者にちなんで、その名が付けられています。
今日でもヘレンドは世界中のコレクターを魅了し続けています。中でも熱心なコレクターが多い日本に向け、中国や日本の伝統的なモチーフを取り入れた特別なシリーズも誕生しています。東洋の伝統美とヨーロッパの職人技が織りなす唯一無二の逸品揃いです。

日本におけるヘレンド

ヘレンドは日本と長年にわたり緊密な関係を築いています。その磁器は日本でも深く評価されており、皇室の方々もヘレンドの顧客リストに名を連ねておられます。近年では佳子内親王殿下がハンガリーのヘレンド工房を訪問され、両国の文化的な繋がりを強く印象づけられました。
ヘレンドの「ひとつひとつを手造り、手描きすること」や繊細な金箔装飾へのこだわりは、日本の美意識や伝統を重んじる心に通じるところがあります。ヘレンド自身、この共通の美意識こそが、自分たちの作品が日本でこれほど愛されている理由の一つだとしばしば指摘しています。
さらに日本の文化芸術も積極的に取り入れており、ヘレンドジャパンでは動物(特にうさぎや十二支)、花柄、季節のテーマなど、私たちにもお馴染みのモチーフがよく登場します。ヘレンドの作品には東西文化が調和しているのです。
Sazen とヘレンド
我々SazenTeaの前身「丸元」は、ハンガリー初の日本茶専門ティーハウスとして、首都ブダペストの中心部で産声を上げました。創業時の原点を懐かしく辿る気持ちが、ヘレンドの作品を私たちのコレクションに迎える決め手となりました。何よりその作品を作り上げる磨き抜かれた職人技は、丹精込めて作り込まれた唯一無二の芸術を称賛するという私たちの信念と重なっています。
今回ご紹介するティーカップ&ソーサーは、ヨーロッパ式のティータイムにも、日本のお茶の時間にもぴったりなサイズです。日本茶でほっと一息つきたい時、アフタヌーンティーを楽しみたい時、あるいは抹茶ラテを味わいたい時。あらゆるお茶のひとときに、ヘレンドのカップはうっとりするような彩りを添えてくれることでしょう。

Sazenのヘレンドコレクション
現在SAZENでは3種類のティーカップ&ソーサーをご用意しております。どれも息を呑むほど精巧な手描きの逸品です。大切な家宝として、特別な日のアフタヌーンティーのお供として、あるいは毎朝のひとときを贅沢に演出する一品として、きっとご満足いただけることでしょう。西洋と東洋の文化を結ぶモチーフは、シンプルな空間から華やかなインテリアまで、どんな空間にも自然と溶け込み、見事なティーウェアとして存在感を放ちます。


☞ ¥176,000 /個(税込)
材質: 磁器
容量: 200 ml / 6.7 fl oz
寸法: カップ: Φ 9 cm, H: 6.5; ソーサー: Φ 15 cm, H: 3.5 cm
このカップは、異文化間の芸術的影響と匠の技の見事な結晶です。
このカップとソーサーの絵柄は、中世ローマで最も裕福な商家の一つであったトゥッピーニ家に由来します。 彼らがイタリアの上流階級のために中東と取り引きしていた異国の織物や高級品。そのモチーフはやがて地元の芸術様式に深く浸透していきました。こうして『トゥッピーニの薔薇』パターンが誕生したのです。
デザインには、アラビアのモチーフと、中国磁器の影響を受けたヨーロッパの「シノワズリ様式」が融合しています。ハンドルにあしらわれた遊び心のある人物像は、「マンダリン」と呼ばれた中国の高官を様式化したものです。
繁栄を象徴する菊の花と唐草模様が、この作品に時代を超えた優雅さをもたらしています。
☞ ¥176,000 /個(税込)
[トゥッピーニの薔薇]と同様に、このヘレンドのカップ&ソーサーもシノワズリ様式で装飾されています。このパターンは、中国や日本の伝統的な吉祥文様である「歳寒三友」つまり、松竹梅から着想を得ています。ほとんどの植物が枯れてしまう寒い季節にも、この3つの植物はなおも力強く、優雅な姿を保ち続けることから、その回復力と強さが称賛されています。松は長寿を、竹はしなやかさと誠実さを、そして厳しい冬にも咲き誇る梅の花は希望と再生を象徴しています。

デザインは、九州・有田で生まれた『柿右衛門様式』に影響を受けています。その上絵付けの技法は、かつてオランダの貿易ルートによって海を渡り、マイセンやヘレンドなどヨーロッパの名だたる窯元に多大な影響を与えました。
このデザインは当初、オーストリア=ハンガリー帝国皇妃エリザベート(愛称シシー)が住んでいたゲデレ宮殿のために朱赤の地色で作られ、王室の威厳を漂わせていました。 1850年代に、中国皇帝の色である黄色を地色とし、その威厳を彷彿とさせる、黄金の輝きをまとったカップが新たに誕生しました。この華麗で繊細な金彩が施されたデザインは、ヘレンドの多面的な芸術性をよく表しています。


☞ 73,700円 / 個 (税込)
まるで編み籠のような浮き彫り細工が施された表面の仕上げも、このカップならではの魅力です。美しい手触りが、手描きの花々を一層引き立てます。このカップもまた、日本の柿右衛門様式に影響を受けており、その装飾は1860年代から受け継がれてきた、伝統あるパターンが基になっています。
1867年のパリ万国博覧会で、この『インドの華』は、ナポレオン3世の皇妃ウージェニに選ばれ、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフをもてなす晩餐会で用いられました。この出来事は、ヘレンドの王室御用達としての威信を高めることとなりました。
この時皇妃ウージェニが購入したのは、艶やかなピンクの「インドの華」。今回ご紹介するグリーンのパターンが登場するまでには、実はちょっとした騒動がありました。
1860年代後半、ハンガリーのアポニー伯爵は急務に追われていました。重要な晩餐会を主催するため、新柄のディナーセットを早急に必要としていたのです。かなり強引な性格で知られた伯爵は、ヘレンドに短期間での制作を強く迫ります。窮地に立たされたヘレンドの職人たちは、とっさの思い付きで既存の「インドの華」のデザインを簡略化することを提案。伯爵はこれを受け入れ、晩餐会は無事に催されたのでした。
この時に生まれたのが、鮮やかな緑色で描かれた「インドの華」の簡略版。その名も「アポニー・グリーン」です。この「アポニー・グリーン」は今や、ヘレンドの最も愛される柄の 1 つになりました。要求の厳しい伯爵も、慌ただしい職人たちも、この土壇場での創作がまさか世界的ベストセラーを生み出すとは、想像だにしなかったでしょう。「アポニー・グリーン」の成功により、この特徴的な緑色はヘレンドグリーンと呼ばれるほどに人気を博し、ブランドを代表する色となりました。そうしてオリジナルである「インドの華」にも取り入れられたのです。
ヘレンドの磁器は、伝統、職人技、そして優雅さが織りなす時代を超えた美しさを誇ります。ヨーロッパの王室から日本の茶室まで、ヘレンドは文化や世紀を超えて愛されてきました。
今回SAZENでは、特に東洋と西洋の芸術性を融合させた象徴的なパターンを厳選いたしました。日々の暮らしにも特別な瞬間にも優雅に寄り添う、その唯一無二の魅力をご堪能ください。
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